振袖とは?振袖の由来・成人式に着られる理由・着用シーンなど解説
- 2023.06.04 振袖
振袖は、その美しさと華やかさから、特別な場で女性が着用する日本の伝統的な衣装です。特に、新成人が成人式で着ることで知られていますが、その背後には深い意味が込められています。
そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。
- 振袖の由来や意味
- 振袖が成人式で着られる理由
- 振袖の種類や着用シーン
- 振袖と他の着物との違い
振袖について詳しく理解できる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
1.振袖とは?
振袖は日本の伝統的な女性の正式な和服で、一般的に「大人の未婚女性」の第一礼装とされています。成人式・結婚式の披露宴などで使用されることが多いです。
その名前の通り、肘から下が非常に長い「振る」ことができるほどの袖が特徴的です。
振袖は本来若い女性が着用するものとされていましたが、現代では初婚の年齢が引きあがっていることで未婚の30代女性も増え、30代でも振袖を着用することが普通のこととなっています。
そして、その華やかなデザインと色使いは、まさに日本の美を象徴するものであり、国内外からその美しさが称えられています。
1-1.振袖の特徴
振袖には、以下のような特徴があげられます。
- 長い袖の袂(たもと)
- 袂(たもと)の身頃側を縫い付けていない開口部の「振八つ口」
- 身頃の脇にある開口部の「身八つ口」
- 縫い目をまたぎ模様が振袖全体で繋がって描かれている柄付け(絵羽模様)
長い袖の袂は、振袖を着る女性たちの若さと清らかさを象徴しています。
また、「絵羽模様」と呼ばれるデザインは上半身だけや下半身だけではなく、袖や裾など振袖全体に描かれているのが大きな特徴。絵羽模様の1つ1つが芸術作品のようで、季節の花々や伝統的な図案が鮮やかな色彩で描かれています。
2.振袖の由来や意味について
振袖の由来は、江戸時代にさかのぼります。どのような由来があるか見ていきましょう。
2-1.振袖の由来
振袖の名前は、その長い袖が肘から下へ振れることから来ています。これは江戸時代に始まり、未婚の女性が正式な場で着るようになりました。この時代の女性は、自身の若さと清らかさを表現するために、この長い袖を振って歩いたとされています。
現在の振袖は、江戸時代初期に若い女性が正装として着ていた和服の袖丈が徐々に長くなっていったことが背景にあります。
江戸時代初期には「55cm~95cm程度」であった袖丈が、江戸末期には「95cm~122cm」までになったといわれています。
なお、袖丈が長くなった理由は諸説あります。「世の中が安定したことで古来からの文化に対する関心が高まり、舞踊をはじめ習わせる際にその身振りをより美しく見せるため」という説や、「年頃の女性に病が多く、長い袖で厄を振り払うため」という説などです。
2-2.現在の振袖
袖が徐々に長くなっていった振袖は、日常生活ではなにかと不便なことが多いことから、だんだんと特別な日だけ着用するものという位置づけに変化していきました。そのため、現在では成人式や結婚式などの特別な場で主に着られるようになりました。
また、伝統的な日本の美を示す衣装として、海外でも注目されるようになっています。
3.なぜ振袖は成人式に着られるのか
成人式は新たな成人の一大イベントであり、その新たな人生の門出を祝うイベントです。そこで振袖が選ばれる理由は、主に以下2つの理由があります。
- 長い袖が若さと清らかさを象徴すること
- 振袖そのものが特別な日の装いとされていること
一人前の大人になった女性が、社会に自己を表現するための一つの手段として振袖が選ばれているというわけです。
4.3種類の振袖と着用シーン
振袖には、袖の長さによって「大振袖」「中振袖」「小振袖」という3種類に分類され、その場のフォーマリティに応じて選ばれます。ここでは、3種類の振袖の概要と着用シーンについて説明します。
4-1.大振袖の特徴と着用シーン
大振袖は袖の長さが110cm前後あり、振袖のなかでも最も華やかで正式な場で着用されます。一般的には、結婚式や成人式などで着られることが多いです。特に成人式では新成人の女性が大振袖を選ぶことが多く、自身の成熟と独立を祝う場での装いとして相応しいです。
そして、大振袖は着用する人の身長によって袖の長さが変わるのも特徴です。たとえば身長159㎝以上の女性は、袖丈が113cm程度となり、身長が159cm以下の女性は身長に合わせた袖の長さに調整をおこないます。
4-2.中振袖の特徴と着用シーン
中振袖は袖の長さが90cm程度で、セミフォーマルな場に適しています。友人の結婚式の二次会やパーティー、謝恩会などでよく見られます。袖が大振袖よりも短く、装飾も少なめなのが特徴で、カジュアルさを加えつつも格式を保つことができます。
そして以前は成人式に着用する振袖の主流が大振袖でしたが、現在では中振袖を着用する女性も増えてきました。
「成人式では絶対に大振袖を着用する」といったルールはないため、自身の好きな袖の長さはどのくらいか、袖の長さと体のバランスを見ながら決めるようにしましょう。
4-3.小振袖の特徴と着用シーン
小振袖は、袖の長さが75cmと短いため比較的動きやすくなっており、カジュアルな場に着用されます。一般的には、卒業式、友人との食事やお茶会、カジュアルなパーティーなどの場です。装飾は控えめで、日常使いにも適しています。
5.中振袖着用時に必要なもの
ここでは、近年一番着用される機会の多い「中振袖」を例に、振袖を着用する際に必要なものを以下にご紹介します。
- 中振袖本体
- 肌着
- 長襦袢(半衿付き)
- 衿芯
- 袋帯
- 帯揚げ
- 帯締め
- 重ね衿
- ショール
- ハンドバッグ
- 草履
- 足袋
- コーリンベルト
- 三重仮紐
- 伊達締め
- 腰紐
- 帯板
- 帯枕
中振袖を着るためには多くのものが必要であることが分かりますよね。
そして、知識と経験がないと必要なものすべてを正しく使用することは難しいため、着付け教室で習ったり、プロの着付け師に依頼して着付けしてもらったりするのが一般的となっています。
6.振袖と他の着物との違い
日本の着物には様々な種類があり、その用途や形式によって名前や特徴が異なります。振袖はその中でも特に華やかで、長い袖が特徴的な未婚女性の正式な装いです。それに対して、他の着物はより広範なシーンで使用され、特徴や装飾も様々です。
以下に、振袖とそれぞれの着物との比較を表形式で説明します。
着物の種類 | 特徴 |
---|---|
訪問着 | 留袖に次ぐ格の高い着物で、結婚しても未婚でも着ることができる。パーティーや式典など、ある程度正式な場で使用される。 |
附下(つけおとし) | 平安時代の貴族女性の正装。長い裾を地面に引きずるように着る。現代では、歌舞伎などで見ることができる。 |
小紋 | 着物の中では比較的カジュアルで、小さい文様が全体に均一に散らばっているのが特徴。普段着として、またはちょっとした外出時に着られる。 |
留袖 | 最も格式の高い着物で、主に既婚女性が結婚式や披露宴などの正式な場で着る。 |
それぞれの着物で、特徴と着用シーンに差があることが分かります。
7.まとめ
振袖は、その美しさと華やかさから、成人式などの特別な場で着用される日本の伝統的な衣装です。由来や意味、種類や着用シーンを理解することで、振袖の魅力をさらに深く理解することができます。
振袖を選ぶ際には、自分自身がどのような場で着るのか、どのような印象を与えたいのかを考えることが大切です。
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